恋色流星群
 

首筋から、頬に上がる手の平。
反対側の頬も。
同じように、彼の手の平で包まれた。









「俺たちはまだ、分かってるように見えて、分からない事だらけなんだよ。

お前の笑う顔も泣く顔も。
たくさん見て来たんだろうけど、俺はまだまだ足りないよ。」








サングラスの奥の瞳を見つけて。
無性に、胸に込み上げてくる、何か。







「お前みてぇな女。
一生かかっても、俺には足りねぇんだよ。」







だって、思っていたよりも、ずっと。

ずっとずっと、柔らかくて優しい。







「だから諦めて、もう俺のとこに来い。」


『・・・無責任なこと言わないでよ、私は他に女がいるような、』


「もう終わったから。」




いつものように、上から見下ろしてくれないと。
こんな、同じ高さで諭されるように話されると。






「もう全部、終わったから。
だから、迎えに来たんだよ。」





声に、指先に、酔ってしまいそうな自分が怖くなる。












「理沙子。」






顎に、キュッと力が込められて。
外していた視線は、航大へと戻された。







喉が苦しい。
じりじりと上がってくる熱に。

込み上げてくる、想いに。

近くなる顔に。
手を伸ばしてしまいそうになる自分に、必死で堪える。














「好きだ。」






溢れる。
これまでの、景色が。


息があがる。
視界が滲む。

その。
どれも違わない、温かさに。










「一生、後悔させない。

他の男といれば、なんて思わせない。





__________俺に、賭けろ。」



 
< 278 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop