恋色流星群

バスルームは、花束を解いたようなローズの甘い香りで充満して。
何かと張ってた心が、ふわりとほどけた気がした。

いいかも。こういうのも悪くないかも。

男らしく石鹸派だったけど、深呼吸するたび気持ちよかった。
だいたい、シャワージェルっていう響きが、テンションあがるよね。

意外にも、私の心どストライクに入ってきた、思わぬお土産。




時計を見ると、もうAM2:00。イオンスチーマーのスイッチを入れて、音楽をかけようとリモコンを手にしたとき、携帯が鳴った。


やめてよー。涙
この時間にコールはなし。営業終了です、また明日。

独り言を呟き、頬杖をついたまま。ふいっと覗き込んだ画面に表示される名前。



_________《剛田 大》














濡れた髪のまま。
とりあえずディオールのマキシマイザーだけ唇に乗せて、エレベーターに飛び込んだ。

3月の深夜はますます寒くて、薄着のまま出てしまったことを、また後悔した。

エレベーターは、私を乗せて、37階からゆっくりと降下していく。



エレベーターのガラス壁から見える満月。私と一緒に降りていく。

きれい。








< 6 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop