恋色流星群

頭が少しずつ回り出すと。


やっと、この状況に心臓が反応しだす。
何だか要さん、優しすぎないか・・・?


当たり前のように、右腕で私の肩を支えて。そこから伸びる手のひらは私の頭へ。
ゆるい速度で、髪を撫でる。



気持ち・・・いいんだけど・・・
なんか、この腕の力が安心するし・・・。





『要さん。』



ひとまず、この状況を整理しようと左側の彼を確認すると。


「うん?」


優しく甘い微笑みはあまりにも近くて。
私はまた、息が止まった。



言葉をなくした私を待たず


「気分どう?」


微笑みが、私を見下ろす。


『あ、大丈夫です・・・あの、私・・・ここ、私の部屋ですよね?』

「そっか、分からないよね。撮影の後、少し気を失ってたんだ。
一応ドクターにも見てもらったんだけど。とにかく熱が高くて、今は休ませたほうがいいっていうことだったから連れて帰ってきた。
点滴してもらったから、熱はだいぶ下がったよ。」




嗚呼・・・情けない。気を、失ってたなんて。

ここまで誰かに運んでもらったのかな。
恥ずかしい。迷惑以外の、何者でもない。





瞬間、優しくあたりに立ち込めた石鹸の香り。



抱きしめられた。



また。






「無理させて、本当にごめん。」





耳元に降る、切なくも甘い声。心臓が縮む。





『あ、いや、大丈夫大丈夫。要さんも疲れたんじゃないですか?
ずっと、ここにいてくれたんですか?』



息が出来なくて。

慌てて、要さんの胸を押して離れた。




「あー、いや、俺は大丈夫。さっきまで瀬名さんもいたし。
何気に、シャワー借りたり好きにさせてもらってたから。」



そっか。
さらさらの前髪と石鹸の香りの秘密。

お風呂上がりだったのね。きゅん。







きゅん・・・???






『と、といれ行きます・・・!』





イヤイヤをするように要さんの腕を振り切り立ち上がろうとすると。




ぐにゃりと歪む視界は、熱に浮かされた頭のせいではなく。









まさかの、“お姫様だっこ”。

いとも簡単に、私を振り上げた。





『わっ・・・!』


反射的に、身を守ろうと首に手を回してしまった。


『ちょっ・・・!』


「すぐ着くよ。」



クスクスと甘く囁く声は、やっぱり蕩ける低音。

当たり前のように甘く。当たり前のように甘やかす。





こんな、関係だったっけ?
こんな、人だったっけ??






だけど私。


要さんの何を知ってた?
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