恋愛じかけの業務外取引

この言葉を聞いたとき、私は今までの恋愛がなぜうまくいかなかったのか、合点がいった。

私を好いてくれる男たちには、私が精神的にも経済的にも甘えないという期待があったのだ。

中にはむしろ私が面倒を見ることを期待している男もいたと思う。

しかし、私だって人並みに甘えたい。

精神的にも。将来的には経済的にも。

だから彼らの期待には応えられなかった。

彼とはそれから気まずくなって、すぐに破局。

間もなくして彼の方が物流管理部へ異動してしまったので、それからはほとんど顔を合わせていない。

きっと世間的にはありふれた別れだった。

彼にとっても、普通にひとつの恋愛が終わったにすぎないと思う。

だけど私は『期待外れ』という言葉が今でも胸に刺さったままで、未だに恋愛には積極的になれないでいる。

誰かのために頑張るのは嫌いじゃない。

好きな人のためならいくらでも頑張れるけど、頑張った分甘えさせてほしい。

私のような男勝りでかわいくない女は、恋人にさえ甘える権利がないのだろうか。

少なくともこれまでの人生で、私を甘やかしてくれるような男性とは縁がなかった。



山名マヤ。

下から読んでも『やまなまや』。

裏も表もないけれど、恋愛するなら甘えたい。



私は今後、自分の持ちネタをこうアレンジするべきなのかもしれない。



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