今日失恋しました。

岸田君ってほんとにクールなの?

最初はそう思ったけど話していくうちに全然そうは思わなくなった。
むしろ話しやすいし。
だからもっと岸田君のことを知りたくなる。


「ほんとにクールイケメンなの?」

あたしがそう聞いた途端、岸田君にキッと睨まれた。

え?え?なんかまずかった?

「俺そのあだ名嫌いなんだよな。
周りが勝手に呼んでるみたいだけど、俺はただ話すのがめんどくさいし興味ないから適当に返してるだけなのに。」


そういうことか。
自分のこと知らないのに勝手に決めつけられたら嫌だよね。


あたしも今なら分かる。
岸田君は人を見かけで判断しないし説得力めっちゃあって、優しい人ってこと。


「うん、クールじゃない。
岸田君はこんなあたしの話も嫌な顔せずに聞いてくれる優しい人だよ!」

岸田君はちょっとびっくりした顔をした。


「そんなこと初めて言われた。
いつも冷たいって言われるからな。」

ま、第一印象はそこまで良くはなかったな。


「まあ最初はあたしもそう思ったけど全然違ったよ。
みんなも話してみればいいのにな~。
あたしなんかよりずっといいもの持ってるし。」

フッと岸田君がまた笑った。
不覚にもドキッとしてしまった。

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