スイッチ




ギュッ



淳の手をそっと握ったら、少しビクッとして


あ、放されちゃうかも……


そう思ったのに、次の瞬間には、


ギュ……


少しぎこちなく手を握り返してくれて、自分から手を伸ばしたくせに、その予想外の反応に戸惑ってしまった


淳と手を繋いでいる………




それからの帰り道、二人とも何も言葉を発しなかった



沈黙の中、歩く帰り道は不思議と嫌ではなくて


つながれた手があまりにも温かいから、それだけでなんだかぽかぽか温かくて


少し斜め前の淳の顔を見上げると、ほのかに耳が赤く染まっているような気がした



それは寒いからなのかもしれないけど、もしかしたら……
もしかしたら、なんて思いがこみ上げてきて、つないだ手が幻なんかじゃないように瞳に強く焼き付けたんだ……



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