声にできない“アイシテル”
 残業している叔父さんの帰りをリビングのソファーで待っている叔母さんのところへ。

 のんびりテレビを見ていた叔母さんが俺に気がついた。


「あら、晃君。
 どうしたの?」

「う、うん・・・」


 叔母さんに相談するつもりで来たんだけど、いざとなると恥ずかしくて言い出せない。


「悩み事?」

「まぁ、そんな感じ・・・」



 突っ立ったまま視線をさまよわせていたら、叔母さんが吹き出した。

「はっきり言ったら?
 “好きな人”のことで、なにか相談があるんでしょ?」


「え?!」


 チカのことはまだ叔父さんにも叔母さんにも話してないのに。

 どうして分かったんだろう。



「このところの晃君、すごく明るくなったもの。
 きっと彼女でも出来たのよって、順二さんと話してたの」

「あ、ああ。
 そうなんだ…」


 知られてるって分かって恥ずかしさが増したけど、かえって肩の力が抜けた。


< 161 / 558 >

この作品をシェア

pagetop