声にできない“アイシテル”
 そんな俺の態度に、叔父さんが声を荒げた。

「晃っ!
 この女性のどこが気に入らないんだ!?
 何が不満なんだっ!?」


―――何が?
   どこが?

「そんなの、なにもかもだよ!!」

 つられて大声で言い返す。

「チカじゃなければダメだって、何度言ったら分かってくれるんだよっ!」


「お前こそ、現実を知れ!
 あの子じゃ社長婦人は務まらん。
 もっと大人になるんだ!!」


 身勝手な理由を振りかざす叔父さんに、カチンと来た。

「大人になるって何だよ?
 会社のために、利益のために、好きな女をあきらめることが大人って言うのか?!
 そんな考えは間違ってる!」


 お互い一歩も引かない。


 しばらくにらみ合ったあと。

 ふっと息を吐いた叔父さんが、苦笑混じりに言った。

「あの子はお前を捨てたんだぞ?」


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