声にできない“アイシテル”

それぞれの心に残るもの SIDE:チカ

 お昼を少し過ぎた頃、お兄ちゃんが戻ってきた。


 アキ君の帰国は3日後だという。

 それまでの間、私は空いた時間に病院を訪れて彼の話し相手をすることになった。



 あと3日しかないのか。

 それとも、まだ3日あるのか。


 彼を見送る時、私はきちんとお別れできるんだろうか・・・。






 翌日。

 昼食を済ませてから、病院に向った。

 今日は私一人。

 お兄ちゃんは学会でスピーチをするから、抜けられないんだとか。


―――それにしても、お兄ちゃんて何科のお医者さんなんだろう。
   

 お兄ちゃんからは『医者になった』とだけ聞かされていた。

 患者さんを診察するんじゃなくて、いろいろ研究するのが主な仕事らしいけど。

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