声にできない“アイシテル”
 少し間があって、チカがふっと微笑んだ。

「…分かった。
 頑張ってみるよ」

「心配する事なんかないって。
 チカの笑顔を見たら、みんなが味方になってくれるよ。
 なんたって、ひねくれまくっていたこの俺を惚れさせた笑顔なんだからな」


 ボン、とチカの顔が赤くなる。

「そ、そんな…。
 惚れさせたとか…、言われると照れるよ…」

「だって、俺がチカを好きになったのは事実だし。
 オマケに惚れ直したし」


「ああ、もう!
 さっき、私のこと“相変わらず泣き虫”って言ったけど。
 アキ君だって、相変らず“好き”とか言いすぎ!」


 耳まで真っ赤になったチカは右手でこぶしを作り、俺の胸をトン、と叩く。

 唇だけで“バカ…”と呟きながら。


「よし、どうせなら俺がどれだけチカのことが好きなのかを、みんなに知らせてやろう。
 と言うわけで、結婚式は早めに挙げるぞ」


「もう、しょうがないなぁ」

 チカがくすくすと笑う。


「幸せになろうな」

 抱き寄せたチカの耳元でそう囁くと、チカは大きくうなずいた。


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