絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
☆☆☆

そして、夜が来た。


ルール変更が行われてからクラスに張りつめた空気が流れ続けている。


みんな俯き、すすり泣き、時にはきつい視線を周囲に向けている。


もうこのクラスに友達なんて1人もいない。


彩美でさえ、あたしにとっては敵の1人になってしまっていた。


この空間で仲間でなければならないのは<mother>の連中だけだった。


こんな反吐がでるようなバトルを考えた<mother>だけど、自分が生き残るために必要なことだった。


しばらくすると、スーツ男がステージ上に現れた。


男は吊るされている死体を見つめて満足そうにほほ笑んでいる。


「すばらしい。人間の死体は芸術的だ」


そんな事を呟いて1人で拍手をしている。


「最低」


彩美が小さな声でつぶやいた。


聞こえるはずのないその声に反応するように、男がこちらへ向いた。


彩美がビクッと身を震わせて視線をそらせる。


「<mother>は体内のICチップであたし達の事を把握してるから、今更『最低』なんて言っても別に気にしてないと思うよ」


あたしはあえておどけた調子でそう言って見せた。


彩美は青ざめた表情のまま少しだけ笑って頷いた。
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