絶叫脱出ゲーム③~クラスカースト~
「ごめん彩美、ずっと1人にさせちゃって」


慌ててそう言うと、彩美は左右に首をふった。


「あたしは大丈夫だよ。朱里が眠った後にすぐ眠ったから」


「そうなんだ? それならよかった」


「でもね、朝起きてみたら……ちょっと……」


彩美がボソボソと言葉を濁す。


「なに?」


そう聞いて、周囲を見回した。


クラスメートたちは何も変わらないように見える。


その時だった、ステージの方から「ぎゃははは!」という下品な笑い声が聞こえてきて、あたしは視線をそちらへ移動した。


見ると、酒本君と公恵がステージ上でなにかしている。


その中には加奈ちゃんも混ざっているのが見えた。


「なにしてるの、あれ?」


嫌な予感が胸を渦巻く。


加奈ちゃんはステージ上でうつむき、拳を握りしめている。


「加奈ちゃんってさ、幼稚園の頃にアイドルになりたかったんだって」


「え?」


あたしは彩美の言葉に首を傾げた。


加奈ちゃんの昔の夢と、今の状況との関係がわからない。


「他のクラスの子に加奈ちゃんの幼馴染の子がいて、それを酒本君たちにバラしちゃったんだよ。そしたら『歌でも歌えよ!』って言われてステージに無理やり連れて行かれちゃったの」

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