CLUSH HONEY~V系彼氏と、蜜より甘く~
「写真…どうしますか?」


と、こちらを伺ってくるカメラマンに、

「サングラスしたままでもいいから、撮影をして。

バンドの世界観もあるし、サングラスでも問題ないから」

とっさに判断を下す。


カメラマンが写真を撮り始める横で、インタビューを始める。


「最初に、ヴォーカルの方のお名前から」


「キリト…」


「本名は、須央 桐人(スオウ キリト)さんって、言うんですよね?」


「本名は、非公開だから…記事にしてもらったら、困る…」


サングラスをしたままの目の前の男からは、素っ気ない態度しか感じられず、

「そうなんですね…すいません」

とりあえずの話のつかみのつもりで、何気ない話から入ったけれど、

どうインタビューを進めていったらいいか戸惑って、正直少し辟易をしていた。


「バンドの一番の売りは、何ですか?」

「売り?」


聞き返して、すぐには答えずに、タバコを取り出して咥えると、


「売りなんか、資料見たらわかるだろう」


言って、男はタバコの煙を吐き出した。


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