可愛い人。



……どうしてだろう。




怖いはずなのに、



この力強さ、




なんだかとても…安心してしまう。





「わっ!翔太、悪い!!ナイスキャッチ!!!」


「サンキュー翔太!キャッチボールやってたらさ、コントロール乱れて廊下の方に飛んでいっちまってさ~!」




そんな声が遠くの方から聞こえてきて、私は我に返る。




え………。



今……



なんだか……




“翔太”って……。




そう心の中で呟くと、急に現実へ帰ってきたかのように意識がはっきりしてきた!




慌てて仰ぎ見ると、私の目と鼻の先には、あの山崎翔太がいたっ!!



「―――!!??」


な、な、なんで?!



こんなところに山崎くんがっ??!




私を嫌う山崎くんがいきなりこんな至近距離に現れてしまって、状況を把握するどころではなくなってしまった…。





「ったく。小学生かよ!もっと人のいない場所でやれよな~!」



そんな緊張感とはかけ離れた調子で山崎くんは言葉を返すと、右手に持っている野球ボールを男の子の方へ投げた。





もしかして、さっきの音って………、





野球ボールのっ!!?





そしてそう気づいたときには私から大きな温もりはとっくのとうに離れていた。





え!?



だとしたら、さっき私、ボールに当たりそうになっていたの!!?




う、嘘でしょっ!!?




山崎くんと男の子達は何事もなかったかのように、無邪気に笑い合っている…!



怪我人は出なかったから、結果オーライということなのだろうか?


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