SIX STAR ~偽りのアイドル~
プロローグ
静まり返った真っ暗いステージの上、50人並んだ最後尾に立っていた。

唐突にスポットライトが並んでいる個々を照らして、それと同時に共に天の声が会場に響き渡る。

「・・・君! ・・・君!・・・」

1人又1人と指名されるとステージ前の真っ暗な会場からは大勢の女の歓声のような・・・悲鳴のような声があがった。

ざわめく会場の中で、その最後に・・・

いきなり降り注がれるスポットライトのまぶしさに天を見上げ目を細める私に、

「そして最後は、君!」

天の声はそこで名案とばかりに指をパチっとならして叫ぶ。

何が起こったのか理解できないまま立ち尽くしている私にお構いなく、その声は少し間を空けてから、


「今日から彼らは『SIX STAR』だ!!」


と力強く言い切るのだった。




(・・・? SIX・・・?)

何かが違うような強い違和感があった。


今日は私の人生をかけたオーディションの日。

昨夜は緊張のあまりほとんど眠れずに、起きたらオーディションの一時間前だった。

実家は名古屋。

オーディションのある東京へは昨日電車を乗り継ぎ、会場に比較的近いビジネスホテルに泊まっていたからなんとか間に合った。

ギリギリに会場に入りこんだので、最初の説明なんて全く聞いちゃいない。

後から考えればこれが一番のいけなかった。

寝坊したことに動揺していた私はよく確認もしないままに最終番号の50番をつけて、ぶっつけ本番でオーディション舞台に上がったのだった。


オーディション課題① 歌 : 大好きな『ファイブファイヤー』の主題歌を熱唱

オーディション課題② 得意な事 : アクション・・・得意な空手の演武を披露

オーディション課題③ 自分のアピールポイント : 自分のファイヤーレッド愛を熱く語った

などなど、主催者の言われるままに頑張った。


オーディションの中から、会場の反応が微妙で何か自分は間違っているのではないか・・・と感じてはいたが、
終盤その不安がどんどん大きくなっていった。

私は3人兄弟で、上に2人の兄がいる。

幼いころから兄と一緒に遊んでいたせいで、普通の女の子とは少し何かが違った。

お人形遊びやおままごとなんかまったくしたことがなかったし、近所にもなぜか男の子の友達しかいなかった。

そんな私の見るテレビは、もちろん兄達と一緒にアクションものや冒険ものアニメだった。

その中で私が心惹かれたのは・・・


戦隊もの。


いつの間にか私の夢は『戦隊ヒーローになること』になり・・・
そして、それから夢の実現に向けて、私は血のにじむような努力をした。

空手・剣道・体操、そして今年とうとう中型バイクの免許まで取得した。

高校生になった私は、とうとう親にも兄弟にも内緒で戦隊ヒーローになるべくして、このオーディションに応募し書類審査通過・・・そして今日このときを迎えたはずだった。

もちろん、戦隊ものヒーローの王道、主役のレッドを狙って。
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