臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
問われて、視線を落とされた大和撫子が柔らかい笑顔のまま……。

社長の腕に抱えられたまま真っ赤になっているであろう私と、見事なまでに爽やかな営業スマイルを見せている社長を見比べた。

「いいえ。こちらの方が不躾だったのではないかと……」

「そうですか。峰社長は今に始まったことではありませんからね」

社長がにこやかにそう言うと、大和撫子が笑顔のままで固まったのを見届けて、今度は私の肩を押してきた彼女を見下ろす。


「僕は働く女性をたくさん知っています。僕の母も、最期まで我が社の専務でしたから」

「え……あの……」

「彼女は確かに“たかが”僕の会社の秘書ですが、着飾らせたのは僕の趣味です。綺麗でしょう?」

その言葉には、一同が息を飲んだ。


「は……隼人さんの趣味……です?」

大和撫子が固い笑顔のままで口を開くと、社長はあっさり頷いて、私を指差す。

「ええ。ブツブツ言ってしかめ面していましたが、服もアクセサリーも勝手に僕が選んで着けてもらいました。美和は強制しないと受け取ってくれないのが困ります」


……う、嘘は言っていない。嘘ではないけど恐ろしく嘘に近い。

確かに“偽装に必要”と言われて、ワンピースを選ばれて、勝手に押し付けられたのは間違いない。

確かに強制ではあるんだけど、言い方が問題だ。


きっと、誤解をされるように、意図して言っているね?

目が合うと、社長は一瞬だけニヤリと笑った。


もう、嫌な予感しかしない。


「では、そろそろ二人きりになりたいので失礼します」

それって、さっさと帰りたいだけでしょう!

抱えられたままに歩きだす社長と、ついていくしかない私。

小杉さんに連絡して、迎えに来た車に乗り込むと、彼は大爆笑した。


……頼む。この男をどうにかしてくれ。










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