臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
***


あああああ! 息抜きがしたい。

朝、社長の出社を出迎えてから、四六時中一緒にいる上に、帰りまできっちりマンションまで送られる……。

ありがたいけど、ずっと上司と一緒にいる……そんな生活は嫌だ。

そう思って詩織を飲みに誘い、送ると言ってくれた社長に『先約があるから』と断りを入れるとムッとされたけど、それは構うもんか。

下町にある屋台みたいなお店に向かうと、彼女はワクワクしながら誘いに乗ってくれた。

ビールを頼んで乾杯をした途端、詩織はニヤリと笑ってモツ煮込みを食べる。


「何だか愛されてるよね~」

「はあ?」

「毎朝ニッコニコしながら言い争っていたかと思えば、昼食も一緒、帰りも送ってもらっているんでしょ?」

毎朝の言い争いは絶えないけど、それだって社長がミーティングについてぶつくさ言うからだ。

結局は行くくせに、朝から文句が言いたいだけのような気がする。

だいたい、言い出したのは社長でしょうが、社外の視察などはほとんど副社長に任せっきりだから、社内のミーティングには参加しようかなって。

予定をやりくりして、伝えたらぶつくさ言われるこっちの身にもなってよ!

……なんて、詩織にはさすがに言えないけど。

「ニコニコなんてしてないから。どちらかって言うと、遠慮なく噛みついてるけど」

「あんたはね?」
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