臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
これは、今後、この服を着たら“誘っていると認識する”って意味だろうか。

それとも、今後、この服は“二度と着てくるんじゃない”って意味だろうか。

頭が真っ白になりつつ、思った事は……。


初チューがこんな大人のキスで良いのだろうか、ということだった。


でも……嫌だったわけじゃないし、彼は彼でご機嫌そうだから、いいかな。





そして、翌週月曜日。

右手から左手薬指に変わったリングのつける位置に、社内では秋なのに春めいた噂が飛び交った。

「えっとね〜。美和が社長室で押し倒されたって噂と、実はすでに妊娠してるって噂と、社長が溺愛し過ぎて乱闘したって噂と。どれが聞きたい?」

にこやかな詩織の言葉に、私はげんなりして隣りを見る。

「さすがに社長室で押し倒さないし、妊娠は籍入れてからの方がまわりは安心するだろうが、これは溺愛なのか?」

社員食堂。何故か最近はいつも私の隣りに陣取る我社の社長に、まわりから生暖かい視線が集まる。

「……とりあえず、私はどれも聞きたくない」



そして数日後、事業部の子会社の一つが運営している食品工場の大きな人事異動が発表された……が。

その噂は、社長の突然の婚約発表に掻き消された。

それでいいのか、私は知らない。












プレジデント・センセーション
-臨時秘書は今日も巻き込まれています-

2016.10.14 完結
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