頭がゆるくなる作文集
好きな本の話


あったかい本を紹介してみようと思う。

「あのね 子どものつぶやき」朝日文庫

朝日新聞の投書欄に寄せられた。幼い子ども達の少しクスッと笑ってしまうような一言を集めた本だ。
読み進めていくと、子どもの素直な視点に、何度もハッとさせられたりする。

例えば、こんなのだ。



足場を組み、ネットのようなもので覆われた改装中の家を見て。
「おうちが捕まってる」

(女の子4歳)



熱でしんどそうに寝ている母に、
「ぼくが修理してあげるよ」

(男の子5歳)



ビターチョコを食べたお兄ちゃんが「大人の味がする」
「大人を食べたことあるの?」

(女の子8歳)



誕生日の朝。起きるなり自分の体をしげしげと見回して、
「7歳と8歳の見分けがつかない」

(男の子8歳)




なんかいいなあ、と思うのだ。ただ、このいいなあという感覚を、どう説明すればいいのか分からない。
お子様はオバカだねえ、ってのもあるし、子どもが言い当てる真実にドキッとさせられるのもあるし、大人になった自分が失ったものを見せられて、さみしく感じるのもあるし、いろんな感情が、じんわりと入り混じる。
この本の魅力に関しては、ぼくがどうこう説明するより、内容をドンドン書き写して読んでもらったほうが、伝わる気がする。
てなわけで、ここからは、ただひたすら内容を紹介していきます。



母「上は大水、下は大火事ってなあんだ?」
「事件!」
・・・・・・確かに。

(男の子6歳)



祖母の入っているトイレの扉を突然開けて、
「ばあば、ひとりで寂しいから、応援にきたの」

(女の子3歳)



選挙の車から「ご声援ありがとうございます」と連呼する声。
「いいね〜、あの人たち、五千円もらったんだ」

(女の子8歳)



「どんなふうにして食べたら、パクッという音がするの?」

(女の子4歳)



バウムクーヘンを食べて、
「このタイヤおいしいね」

(男の子2歳)



お友だちの風船が空へ。母「かわいそうねえ」
「でも雲はよろこぶね」

(女の子4歳)



初めての海。波を怖がり、
「海が動いてないときに、また来る」

(女の子3歳)



母に小言を言われたあと。顔をのぞき込んで、
「まだゆらゆらしてる?」
・・・・・・いらいらの間違いだった。

(男の子3歳)



雲一つない青空を見上げ、
「今日はあたらしい空だね」

(女の子3歳)



布団乾燥機でふわふわになった布団に寝ころび、
「あー、あったかい。ご飯の上の梅干しの気持ちがわかるよ」

(男の子8歳)



ある朝。「昨日、ママと歯医者さんに行く夢をみたよ」
「あら、そうなの」と言う母に、
「え、知らないの?一緒に行ったじゃん」

(女の子5歳)



結婚前の両親の写真を見て、
「若すぎる。これいつの?江戸時代の?」

(男の子6歳)



焼き豆腐を見て、
「わあ、きたない豆腐だね」

(女の子4歳)



「うんちはどこにいくの」
ママ「下水よ」
「一本だったら、さびしいから、もう一本してあげる」

(女の子2歳)



「いい夢見ちゃった」と言う母に、
「みせて!」

(女の子3歳)



おまわりさんが大好き。あっちこっちの交番を見て、
「おまわりさん家って、ちいさいね」

(女の子4歳)



ぬかみそにナスとキュウリを漬け込んでいる祖母を見て、
「どうして、かくすの?」
(女の子4歳)



サイダーをコップに注いだ。耳を近づけて、
「夏の音がするよ」

(男の子6歳)



羽アリが歩いているのを見て。
父「このアリ、羽が生えているね」
「アリの天使だね」

(男の子5歳)






・・・・・・ほっこりしていただけましたでしょうか?


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