お前しか見えてないから。*特別番外編*
部屋に入ると、中はキレイなピカピカの和室だった。
「うわぁ、すごい…!」
さすが、リニューアルしたてとあって、畳から障子からテレビまで、すべてが新品のようにキレイで、とても清潔感がある。
部屋は八畳ほどの広さで、奥には大きな窓があり、外の景色が見られるようになっていた。
こんな素敵な部屋に泊まれるなんて、やっぱり来てよかったかも…。
思わずナツくんと顔を見合わせる。
「キレイだな、部屋」
「うん。すごく素敵だね」
荷物を置いて、コートを脱ぐと、二人で窓から外を覗く。
外はもうだいぶ暗くて、少し雪がちらついているみたいだった。
「あ、雪降ってるね」
「ほんとだ。寒かったもんな」
「いいね。冬の温泉旅行って感じだね」
窓に両手をついて、なんとなく思ったことを口にしてみる。
すると、隣に並んでいたはずのナツくんがふと私のうしろにきて。
そのまま背中からぎゅっと抱きしめられた。
どきん……。