ただひたすらに君が好きだよ。

-昼休み-

「すみれ〜、湊ー、飯行くぞ〜」

悟くんはチャイムが鳴ると同時に
猛スピードで私を連れて教室を出る

「はいはい、今行くから」

少し面倒くさそうに、すみちゃんが答える

すみちゃんを待つ悟くんは
ご主人を玄関で待つ犬みたい

「じゃあ行くか、」

「おぉ、湊!、いつの間に!!」

「パン、買いに行ってた」

えっ、いつ買いに行ったの?

まだ、授業終わって1分くらいしか経ってないよね...

「お待たせ、」

すみちゃんが来た途端、悟くんの目は
すみちゃんにロックオン

「すみれ〜、会いたかったー」

「会いたかったって、そんな会ってない覚えないんだけど....」

口では尖ったことをいうすみちゃんも
もう、幸せオーラかもし出てて

見てるこっちが恥ずかしくなっちゃいます

「ほんと、なんで俺たちと一緒に食うんだろうな」

小鳥遊くんは、並んで前を歩く2人を見て、呆れながら私の隣でいう

「ハハ、ほんとに仲良しだよね」

それは、すみちゃんが気を使ってくれてるのじゃないかと思ってるんだけど...

違うのかな?

「湊〜」
「千鶴〜」『はやくー』

息ぴったりですね.....

「はいはーい」

いつも、決まった場所を作らずにいろんなところでお昼を食べる

ただ、教室だと周りの目が気になって
疲れちゃうから移動してる

今日は、中庭の日陰に座るって食べることになった

少し暑いかな、とも思ったけど
風が冷たくて気持ちよかった

いつも食べるのは一瞬で、その後みんなでのんびりするのが楽しいんだ!!

「そういえば、悟くん
すみちゃんに宿題のやつ言わなくていいの?」

「あっ!!、そうだった!」

タイミングを待ってたのか、
言わないつもりだったのかわからないけど、

すごく態とらしい返事だった

「すみれ、お、俺、宿題やり直しなってよー、頼む!! 手伝ってください!!」

「犬に食べられたとかいうやつね、
ほんと、悟らしいんだから!!」

そう言いながら、悟くんに笑顔を見せるすみちゃんの顔はとてつもなく可愛かった

「ありがとっ!!、途中まで千鶴に
手伝ってもらったから、残り放課後
図書室で終わらせます

すみれマジでありがと」

「また、千鶴に手伝ってもらったの!?

確か、最終日すみれん家で一晩邪魔したのよね?」

実をいうと、私と悟くんは小さい頃からの幼馴染で家族同士の交流もあり

家に出入りがあっても特に特別なことでもないのだ

「すっ、すみれ!!、それここでいうなよ!!」

ただ2人とも、悟くんと私が何かをやっていたことを隠すかのように

言わないようにしている。

なんでなんだろ??

「ちょっと私、飲み物買ってくるね」

風が弱まり少し暑く感じた私は
自販機へと向かう

「いってらっしゃーい」

そう言って私を見送る3人

私の知らないところで、さっきの会話は
続いていた

「なぁ、時田ん家でってなんだ?

俺、なんも聞いてねぇんだけど」

すごい勢いで悟くんを睨みつける小鳥遊くん

「い、いや、別に隠してたとかそういうんじゃねぇからな、

ただ、そうするしかなかったっていうか...。

怖いから睨むのやめろって」

すみちゃんの後ろに隠れながら
恐る恐る小鳥遊くんにいう

「そうするしかなかったのか、
そうだよな、宿題最終日の夜まで
やってなかったんだもんな

しょうがないよな」

ニコニコと笑う小鳥遊くんの笑顔は
後ろに鬼を写していた

「キャーーーーーー.....
す、すみれ、助けて...」

まるで女の子のように声を上げる悟くん

「はぁ、小鳥遊、そのくらいにしといてあげなよ、

それに、2人が全くそういう関係にないって

うちらが1番しってるじゃん」

「いや、それはわかってるけどさ」

小鳥遊くんがすみちゃんに言われて少し弱気になる

「だいたい、そんなに好きならはやく
告っちゃいなさいよ!!

見てるこっちがイライラするのよ」

いつの間にか立場は逆転して
すみちゃんが小鳥遊くんを責める形に

「い、いや、そんな、
今の関係が崩れたりしたらお前らにも迷惑かかるし」

「あのねぇ、朝あんなにイチャついといて、何言ってんの?

あんまり余裕かましてると、宇都宮先輩に千鶴とられちゃうわよ」

「そっ、それは絶対ダメだ」

「いや、湊、ここでそんな断言したって
どうにもならないぞ」

悟くんがビクビクしながらすみちゃんの後ろから声をかける

「うるっさい、悟は黙ってろ」

悟くんの言葉に過剰に反応する小鳥遊くん

「あっ、千鶴戻ってきた」

「ただいまー」

ジュースを手にした私のほおには
汗が光っていた

「時田、汗かいてるぞ、」

そう言って、小鳥遊くんは私のほおを
ハンカチで拭う

「わあああ、いいよ、ハンカチ汚しちゃうよ」

「いいからいいから、」

小鳥遊くんはあっという間に拭いてくれてしまい、結局どうすることもできなかった

「も、申し訳ないです///.....。」

「ハハハ、かわいいなぁ時田は
ってか、持ってるの炭酸だろ?

そんなに振って大丈夫なのか?」

「えっ、やっ、その、
あっ、そうだった!!!」

慌ててペットボトルを開ける

『プシャーーー』

案の定思いっきりジュースをかぶってしまいました

「千鶴!!、大丈夫?、」

すみちゃんが急いでスカートを拭いてくれる

「さ、さすがすぎるぜ千鶴」

唖然とする悟くん

「もう、ほんと、さいっこう」

ニコニコと笑いながらハンカチを
差し出す小鳥遊くん

ハンカチを受け取る手から
私の鼓動が伝わりそうで手を伸ばすのが怖くなる。

だって、そんな笑顔....見せられると...

「どうした?、これ使えよ」

「う、うん、あり、がと」

ハンカチを受け取った右手が、
少し小鳥遊くんと当たって、思わず
固まる

「////////っ!!」

ふと、顔を上げると鏡を見てるかのように

小鳥遊くんも顔を真っ赤にしていた

「「はぁ、」」

近くで2人が大きくため息をついていたけど、どうしたの?とも聞く余裕はなかった

結局、異常に緊張する沈黙の中
私たちは教室に帰った

もちろん、そんな沈黙など気にせず
前の2人は仲むつまじく話していたけど..

時折2人がこっちを見てニヤニヤと笑うのは、なぜだったんだろう
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