素敵な恋じゃないけれど。

「俺、入部したんですけどマネージャーやります」

柚季の言葉に周りは驚愕した。
もちろん静音も。

「何で!?」

そう聞くと、柚季はうーんと悩む素振りを見せ、
「聞いてる方が向いてるっぽい」
と答えた。


静音の考えとまるっきり同じ考え。
正直静音は嬉しかったけれど、入ってくれたのに一緒に歌うことは出来ない、という事実に視線を落とす真由美が気になった。

「森原、よろしくな」

そう言って微笑む柚季の顔はやっぱり整っている。




パート練習が始まると、
静音は部長からのど飴の買い出しを頼まれた。

一人で行こうと用意をしていた時に、
「俺も行くよ」と柚季が言い、二人で行くことになってしまった。


(なんか、真由美に悪いな…)




「森原ってさ、なんでマネージャーやってんの?」

二人で歩いていると、柚季に声をかけられた。

「歌うより聞くほうが好きだから。
みんなの歌声は私の癒しだからね」

そう答えると、柚季はまた整った笑顔を見せる。

「なんか、森原声綺麗なのに勿体ないな。きいてみたかった」

「そう言う柚季だって良い声してるじゃん。みんな欲しい人材だったと思うよ」
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