サガシモノ
☆☆☆

あたしたちは学校の食堂へと移動してきていた。


まだ時間が早いから食堂内には誰もいない。


しかし部活をしている生徒たちのために、食堂のおばちゃんたちは今日も働いていた。


「で、話ってなんだ?」


「小藪先生は、旧校舎について知ってますか?」


陽がそう聞くと、小藪先生は一瞬身をのけぞらせて陽を見た。


「旧校舎って……椿山高校の旧校舎のことか?」


「もちろんです」


陽が大きく頷いた。


小藪先生は大きく息を吐き出して「あそこに興味を持つのはやめておけ」と、言った。


小藪先生も、近藤先輩の話を知っているのかもしれない。


「もう手遅れです」


陽がそう言い、小藪先生は目を見開いてあたしたちを見た。


申し訳ない気持ちになり、あたしはうつむいてしまった。


「まさかお前たち、旧校舎へ向かったのか!?」


小藪先生が聞いたことのないような大きな声でそう言った。


「……ごめんなさい」


陽が頭を下げてそう言った。


あたしも一緒に頭を下げた。
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