サガシモノ
☆☆☆

「五十嵐孝は死んでない……」


歩きながら、健がそう呟いた。


「うん……」


あたしは頷く。


「仮に死んでいたとしても、ここ最近だ」


陽が言いなおす。


「じゃぁ、あたしたちが見たアレは一体何なの?」


渚が震える声でそう言った。


「死んでいないとして、幽霊じゃないとすれば……生霊」


海が答える。


生霊……。


あたしたちは足をとめ、互いの顔を見合わせた。


「じゃぁ、松田邦夫と武田陽太は?」


あたしは誰ともなくそう聞いた


「2人とも生きているかもしれない」


陽が言うと同時に、健がノートを開いていた。


「ここから近いのは松田邦夫の家だ」


「行こう」


健がそう言い、あたしたちはすぐに歩き始めたのだった。
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