サガシモノ
迎え
夜出る事ができなくなったあたしは健に連絡を入れていた。


《ごめん、夜中抜け出してることがバレた。今日は行けれない》


そんな短い文章だ。


健は気にするなと言ってくれたけれど、あたしの心は全然晴れなかった。


みんなは今日もあの薄気味悪い旧校舎へ向かうんだ。


そして4人の記憶を見て、腕時計を探す。


その中に自分がいないと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「寝るわよ、咲紀」


夜10時。


いつもの就寝時間よりもかなり早い。


だけどお母さんに呼ばれたら逆らう事はできなかった。


あたしは返事もせずに両親の寝室へと向かう。


一足先に寝ているお父さんはいびきをかき始めている。


あたしはお父さんとお母さんに挟まれるように布団に横になった。


これじゃ絶対に抜け出す事はできなさそうだ。


そう思い、深くため息を吐いたのだった。
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