サガシモノ
繰り返す
栞の家から逃げて来たあたしと渚は公園のベンチに座っていた。


夏休みの子供たちが遊んでいる中、会話はなかった。


何度も何度も栞の顔を思い出す。


暑いはずなのに、全身が凍りつくような寒さに襲われていた。


「咲紀、大丈夫?」


渚が震えているあたしの手を握りしめてそう言った。


あたしは小さく頷く。


でも、本当は大丈夫なんかじゃなかった。


栞は栞じゃなくなってしまっていたし、栞のお母さんはその事に気がついていなかった。


どう考えても異常な事が起きている。


「とにかく、男子たちにも連絡を入れようか」


そう言い、渚はスマホを取り出した。


「……男子たちは、大丈夫だよね?」


もし、健が栞にみたいになっていたら?


そう考えると胸の奥が苦しくなった。
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