サガシモノ
1人ずつ
「旧校舎へ行った事のあるのは昔のオカルト部の先輩たち5人だ。


5人が高校2年生の頃、旧校舎は危ないという噂を聞きつけて肝試しをすることになった。丁度夏休み中で、君たちと同じような感じだったんだろうな」


近藤先輩は思い出すようにそう言った。


「5人は旧校舎へ入って行き、広間を見つけた。そこに柱時計があったんだ」


「確かに、ありました」


健が頷きながらそう言った。


「時刻は夜中の2時前。柱時計は壊れていて動かない。もっと先にある教室を見て回ろうとしたとき……時計が突然2時を知らせたんだ」


あたしは脳内にまで響き渡るあの音を思い出していた。


思い出すだけでメマイを感じる。


「君たちも言っていたように、彼らは昔の制服を着た男子生徒たちの幽霊を見たんだ。そして言われたんだ『お前たちの大切なものを奪った! 返してほしければ俺たちの大切なものを探してくれ!』ってね。


慌てて旧校舎から逃げて出ると、メンバーが1人いなかったそうだ」


あたしたちに起こった出来事を全く同じだ。


あたしは息をすることも忘れて近藤先輩の話に耳を傾けていた。


「それから毎晩、先輩たちは旧校舎へ向かった」


「毎晩!?」


渚が思わず大きな声を上げた。


あたしも同じ気持ちだった。


毎晩あんな気味の悪い場所にいくなんて、あたしにはきっとできない。
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