サガシモノ
書き出す
朝10時頃、あたしたちはいつものファミレスに集合していた。


丁度昼が近くなってきたので、料理の匂いに食欲が刺激される。


「今までの事をまとめるためにノートを用意してきた」


陽がそう言い、大き目の鞄からノートとペンケースを取り出した。


さすが、一番栞のことを想っているだけあって用意がいい。


「まずは初日に旧校舎へ行ったとき、3人の生徒たちは広間にいた」


そう言いながらペンを走らせる。


お世辞にも上手だとは言えない文字が並んでいく。


「全員顔は歪んでいて、ずっと何かを探していた」


「だけど教室内にいた時は顔が歪んでなかったよね?」


陽の手元を見ながら渚が口を挟んだ。


「あぁ、それも自分なりに考えてみたんだけど……」


「広間で見たのは幽霊。教室で見たのは幽霊たちの記憶」


あたしがそう言うと、陽は驚いたように目を丸くした。


「俺も、そう言おうと思ってた」


「うん。あたしもそう考えてたの」
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