私に恋してくれますか?
私達は夕食を一緒に作りながら、
ひとりで思っていた事を話した。

そうしたら、
私がトオルくんの顔色を伺う表情が、
トオルくんにとっては自分と、足立先生を比べているんじゃないかと思っていたり、
トオルくんがルピナスの話のたびに言葉が出なくなったのは、
私にふさわしいオトコってどうやったらなれるのかってつい、考えてしまうって姿だった。
と言う事が、やっとわかって、
お互いにすごく安心したみたいだった。

「ピーコ、俺はピーコのたったひとりの男だって安心して、いいんだよな。」
と聞いて、私が頷くと、そおっと唇を合わせ、私が、

「私も、安心していいですか」と聞くと、

「俺は、ピーコに12月に偶然出会って、
ピーコの笑顔を見たら、
俺がずっと探してたオンナだって、
こんなところにいたのかって思った。
兄貴の見合いの相手だってわかっていたのに
誰にも渡せないって思って、手を掴んだ。
恋愛が初めてのピーコの気持ちがわからなくて、悩んだり、強引に迫ったり、ジタバタしたよな。
やっと捕まえることができて
今はすごく幸せだって思ってる。」と照れくさそうに言ったので、

「私もあの時、手を掴んでくれて、
大きく笑ってくれたトオルくんを好きになりました。」
と言うと、トオルくんは

「病みあがりってわかってるけど、もう一回キスしていい?」
と私の顔を覗きこみ、返事を待たずに固く抱きしめ、深く唇を重ねた。


やっぱりあの出会いは偶然だった。
スグルくんを邪魔するためじゃない。

私は安堵し、涙を流した。


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