私に恋してくれますか?
「ヒナコ。」と父に呼ばれ、顔を上げる。
もう、私との話は終わったものかと思っていたので、
気を抜いていた。

「はい。」と言うと、
「ヒナコは24歳になったのか?」と聞くので、頷く
(24になったのは今年の3月で9ヶ月も前だけど。)と、

「そろそろ結婚しないとな。見合いしてみるか。」と私の顔を見る。
「?」なに?
「キサラギ、どう思う?」と兄に聞いている。

「まあ、ヒナコは自分で結婚相手は見つけられそうにないかな。」
と兄は私の顔を面白そうに見る。

ちょ、ちょっと待って。
「お兄様や、お姉さまが先なのではないですか?!」と声を出すと、
「キサラギは秘書課の西島くんとそのうちどうにかなるだろう。
サツキは研究者として、自立しているし、
自分で相手を見つけられるだろう。」と父は兄と、姉を見る。

兄は少し顔を赤くして、
「西島さんにいろいろ言わないでくださいね。
ちゃんと、決まったら、報告します。」といい、
「私は、付き合ってる人いるもん。」と姉が笑う。

「サツキ、そのうち連れてきなさい。」と母が声を出す。
「まだ、ダメよ。普通の人なんだから。
うちに連れてきたら、逃げられるわ。
プロポーズさせたら、連れてくる。」と姉はニコリと笑った。

「渡部(ワタナベ)という男か。」と父が姉の顔を見る。
「なんだ、もう、調べたの?
本人には会ってないでしょうね?」と姉が笑う。
「大丈夫だ。まあ、優秀な研究者らしいな。
女の影はなさそうだ。
カタブツだという噂だが。」と姉を見る
「固い感じがいいんじゃない。
うぶな感じが良いのよ。」と姉は笑う。
「まあ、いい。」と父は姉を見る。

お姉ちゃんの恋人は認めてもらったってことですね。

「ヒナコ。おまえはどうだ?」と父に見つめられ、黙り込む。

そんな事を言われても困る。
私は男の人と付き合ったことなんてないんだから。

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