もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
6.彼が変えたい未来


 開いていた本を、ゆっくり、ゆっくりと閉じた。

 やっと本を全て読み終わった私は、その本に付けられているブックカバーを初めて外すと、表紙を見た。

 表紙を見た私は、大きく目を見開いた。あとがきを読んで、分かっていた事だけれど、これは間違いなく私が今年コンクールに出した絵と同じだった。タイトルだってそう。私は、この絵に「もう二度と昇らない太陽」と名前をつけて先生に提出した。

 表紙に右手の指先を置いた。そして、ゆっくり、撫でるように表紙に触れる。すると、ボトッというような音と共に、その表紙へ何かが落ちた。


 ────私は、泣いていた。

 はっとして両頬あたりを手で触ると、私の頬はひどく濡れていた。私は、こんなになるまで自分が泣いていた事に全く気づかなかった。

 胸が、痛い。苦しくて、苦しくて、どうにかなりそうだった。

 こんなにも胸が締め付けられて、こんなにも苦しい。こんな感情は初めてだった。涙が止まらなくて、苦しくて、私はただただ絶えず流れる涙を拭う事しかできないでいた。


 ───数時間後。

 本を読み終わって数時間が経った頃、私はやっと立ち上がった。まだ気を緩めればすぐにでも溢れ出そうな涙を堪えながら、私は本を片手にお兄さんを探しに出かけた。

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