俺様御曹司による地味子の正しい口説き方

イラついた声音にビクリと体が震える。


「ま、待ってくださいっ」

「あっ?切った方がいいんだろ?」

「違うんですっ、いや、違わないけど。
あのですね、今日華ちゃんと話していたんです。私は『彼女』という立場のメールや電話の頻度が分からないので小早川君にもどうしたらいいのか分からないと言ったら、逆に小早川君から連絡が来て嫌だと思うか、と聞かれて。
それで、思ったんです。
私が嫌だと思わない様に、小早川君も少しは喜んでくれているのかな、と。と、まぁそう思ってトーク画面を開いてみたのですが上手く言葉が出ず、送れなかったんですけどね」

「ッ、…………で?」

「で、ですね、、、。
あ、あの、今日久しぶりに声が聞けて、う、嬉しかったんです。なので、早くお休みした方が良いとは思っていても、『話したい』と、思っているのは同じ、なのかな、、、と思ったんですが、どうでしょう!?」

「ッ、」

「ご、ごめんなさいっ私都合で考えすぎですか?あのっ、検討違いなら言ってくださいっ」

「杏、、、」

「は、はいっ」

「ククッ、杏、」

「はいっっ、」

「好きだ」

「へっ?」

「会いたい」

「はっ?」

「キスしたい」

「なっっ」

「抱きたい」

「!!!!!」

先ほど聞いたイラついた雰囲気は無くなり、いたずらをするような余裕のある声が戻ってきていた。
楽しそうに爆弾を落とし、がらりと変わった展開に頭がついていかない。

「俺が思ってることは、杏も思ってるってことだろ?」

顔が見えないはずなのに、そう話す恭一のニヤリと笑う顔が目に浮かぶようだ。
< 139 / 246 >

この作品をシェア

pagetop