青春のグラジオラス

 読み終えてしまった本をもう一度読むのは決して無駄なことではない。ミステリみたいなトリックを含んだものは言わずもがな、どんな小説でも二度目で気づかされることが何かしらあることが多い。

 それでも今の僕にとっては二度目の内容はひどくつまらないものに感じてしまっていた。

 退屈は嫌いじゃないけれど、楽しみ先にがあると分かっている退屈はあまり好ましくない。

 みんなが楽しく談笑している昼休みでさえも早く終わってしまえと思うほどに、僕は暇を持て余していた。めくるページにも明らかに力がなかった。

 「ずいぶんと暇そうな顔をしているじゃあないか、倉木初くん」

 パックのイチゴオレを片手に柚木が言う。友達と昼食を食べた後だろう。もう片方の手には軽そうなランチボックスがぶら下がっていた。サンドイッチだったのだろうか。

 「持て余す暇が多すぎるのか、持て余すこともできないくらい何もないのか自分でも分からないほどだよ」
 
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