うっせえよ!





それからは恋愛の短編に全精力を注いだ。



誠司さんから買ってきてもらった栄養ドリンクに栄養ドリンクを混ぜた栄養満点ドリンクをジョッキに注ぎ、それを飲みながら、眠気と戦いながら書いた。



それでも眠くなると、午前中、知り合いの病院に行き、にんにく注射まで打ってもらった。これがあると、3日は寝ずに仕事ができる。締め切りに間に合わない時、たまに使っている。



しかし、身体は元気でも、心に余裕がないと、小説は書けない。心を活字に起こすのだから、当然だ。そういう時は、中島みゆきの「ファイト!」と聴いて、自らを奮い立たせた。



誠司さんも負けじと私を支えてくれた。仕事終わりで、疲れているのに、妥協しないで、原稿一枚、一行も見逃さず、朱入れをし、それが終わると、洗濯物を畳んだり、お風呂掃除くらいの家事はしてくれるようになった。



慣れない手つきで、私のブラをどう畳もうか悩んでいる姿を見ていると、不潔とは思えず、かえって可愛らしく見えた。私も私でブラを誠司さんに任せるなんて、どうかしてるかもしれない。でも、それぐらい今はこの作品に全神経を集中させたかったのだ。



この作品に命を懸けている。こんな感覚は初めてだった。




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