うっせえよ!





「それはそうと、明美さん。飲みませんか?」



誠司さんが明美に日本酒を勧めた。明美は日本酒がまったく飲めない。



「すみません。日本酒は……。」



「飲めないんですか? 獺祭は飲みやすいですよ? あ、スパークリングならどうですか?」



もちろん、明美は首を横に振る。獺祭だろうが、スパークリングだろうが、水割りだろうが、明美は日本酒が飲めない。



一度、私の悪酔いから、日本酒を強引に飲ませたことがあった。そのとき、明美はその場にぶっ倒れてしまい、救急搬送。23:00に病院に着き、処置を受け、翌朝退院することができた。



ただ、入院費は私が肩代わりすることになった。6万円。2泊分の料金だ。なんでも、病院の一日の区切りは24:00らしく、その一時間前に搬送されたせいで、2泊分になってしまった。



同じ過ちを二度と繰り返さないように、それ以来、日本酒を飲むのは、藤原と飲むときだけと決めてある。




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