恋なんていたしません!
わたしと一緒にですか?

「えーっと、何を根拠にそんなことをおっしゃっているのですか?」

そう聞いたわたしに、
「家は隣同士で、最近は仲良くなったかなと思いますし」

一ノ瀬が答えた。

そんな理由から幹事をやりましょうってか?

「お隣だから何かと聞きやすいじゃないですか」

「いや、聞きやすいとか聞きにくいとかの問題ではないと思いますよ」

それ以前に基準がわからないんですけれども…。

「野々村さん、やりましょうよ!

田ノ下さん、きっと喜ぶと思いますよ!」

一ノ瀬がそう言ってわたしの両手をつかんできた。

「まあ、そこまで言うならば…」

根負けしたと言うように答えたら、
「僕は店を決めますので、野々村さんは人を集めてください」

一ノ瀬は嬉しそうに返事をすると、その場から立ち去った。
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