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「オイ、朝倉ァ?おまえのプリン、俺に渡しなァ。」

〝まったり〟だとか、〝ワイワイ仲良く〟だとかを、ぶった斬るような声が、降ってきた。

類い稀なるジャイアニズム精神の持ち主、ガキ大将の荒川である。

また、彼の説明を付け加えると、女子からもらった、給食のプリンの個数をイケメン指数だとカン違いしているドアホである。

つまるところ、絡まれるとマジ面倒クセェやつ、ってことだ。

んで。

荒川は、片手いっぱいに、みるくプリンを抱えこんでいた。

きっと、気弱な女子達から、奪い取った(献上させた by荒川)のだろう。

そして、プリン寄こせ、と、もう片っぽの掌を朝倉に差し出す。

しかし、食い意地だけははった、朝倉のことだ。

当然のことながら、

「ヤダ。」

朝倉は、プイッとそっぽを向いてしまう。

「あ゛?」

荒川が、声を荒げる。

荒川、つまり、ジャイアニズム精神に生きるヤローの辞書には、こんなふうに記されていたのだろう。

【ヤダ→俺様に歯向かうヤツが用いる。こういうヤツに言う事聞かせるには、実力行使が手っ取り早い。】

次の瞬間、コンマ1秒の光速で、荒川の手が、朝倉のみるくプリンにのびる。

朝倉も、瞬時に、みるくプリンを抑えて、臨戦態勢をとる。

そして、ドッタバッタンの一騒動があり、

十数秒後、みるくプリンは、グシャリと、みるも無残な様で、着地していた。
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