私のいとおしい残念な男達



「わかったよ……」



観念したような呆れた声でそう言う黒木の声


え、もしかして…………?


階段の手摺に隠れるように屈んだままそっと
顔を出し、二人の様子を伺う


目に見えたのは、黒木が彼女の背まで屈んで頰に添えた手と、顔を傾け近づけた瞬間

「は…………っ」

つい、出た声をまた両手で口を塞ぐ

「……………」


なぜか言いようのないほど心臓が激しく騒ぐ




そのうちに、パタパタと小走りで階段を降りていく足音がして、1階の非常階段の扉から人が出ていくような音がした




い……行った?

ホッとして、屈んだままの顔を上げた


「何やってんだお前……」

「ひっ?!」

出て行ったのは彼女だけらしく、黒木は真っ直ぐ隠れていた私の所まで来て、隠れている私を見下ろしてきた


「く、黒木………」

「さっきからバレバレだ、お前」


えつ、気づいてた………?


「……………」


顔を見上げながらその場を立ち上がり、何となく物言いたげに黒木を睨む

「………なんだよ」

「別に………っ」


なんだかイライラした

この間までやたら絡んできてた癖に、他の子にもああゆう事するんだ、こいつは………

「なんか、最低ーー……」


腹立たしさに思わずボソリっとそう呟いた


「はぁっ? なんだよそれ……」

太々しい黒木の態度に、それ以上話す事もない
身体を翻し奴の前を通り過ぎる

がその前を塞がれ、肩を掴まれた

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