私のいとおしい残念な男達
会社の駅から乗り継いで40分
地元駅から自宅は約10分
門構えを通り、3段上がりのすぐにある玄関の扉を開く
「ただいま」
現在の時刻は8時半、大体いつもどこにも寄らなければこのくらいには自宅に到着する
「あら、今日は帰ってきた」
リビングから母親が、玄関に顔を出して言う
「なによ、帰ってくるでしょ自宅なんだから」
ふぅんっと一度出した顔をリビングへ戻していく
「……………なに?」
意味あり気にキッチンへスリッパをならし向かって行くのを追うようにリビングに入ると、テレビの前のソファーに父親が座っていた
「…………た、ただいま」
母親の「今日は帰って来た」発言で、なんとなく気不味い…………
案の定、こちらに顔は見せないまま「お帰り、早かったんだな………」なんて、もしかして嫌みか?
「やっと仕事が一段落したから………」
これ以上の説明ははめんどくさい
「着替えてくる」と、リビングを背にして階段に向かう
「あ……………今日は帰って来たんだ」
階段から降りてきた無駄に背の高い弟から見下げられて、
またもや同じセリフが落ちてくる
「…………悪い?」
「別に」