私のいとおしい残念な男達
「ありがとう………和馬」
タクシーから二人とも一度降り、待たせた状態でうちの玄関の前でお礼を言った
せめてここまでのタクシー代をと差し出したお金も「勝手に送りたかっただけだから」と返された
「あの和馬…………さっきの本気?」
「もちろん」
余裕あり気にニッコリと頬を上げる
振られたことなんて無いんだろうなぁ………
私だって今までどこに押さえ込んでいたのか、びっくりするほど和馬に胸がときめいている
「わっ、姉ちゃん?!」
突然、暗闇から聞き覚えのある声がして、ギクリッと肩を上げた
和馬と同時に声の方に視線を向ける
「………………」
そこには、どこか近所にでも食事に行っていた帰りの弟と、父親が立ち止まっていた
最悪だぁ…………
「小夏、今帰ったのか?」
普段、口数が少ない父が口を開く
時刻はPM10:30
「そう、タクシーで送ってもらったの……」
父の視線はすぐに背の高い和馬に向けた
「小夏さんと会社同期の桐生和馬といいます。遅くまで、お嬢さんを引き留めてしまってすみませんでした」
隣にいた和馬がそう言って父親に頭を下げると、同時に父も同じように一礼する
「いえ、ありがとうございます。娘がお世話になりました」
そんなやり取りを、父の隣でポカーンと眺めていた弟
「え、姉ちゃんの恋人?!」
今この状況でお前は口を開くなっ!