あの日、あの場所で-君に恋した夏の日-
<プロローグ>どこか、知らない場所で。

 チリン、チリン――。

「あ、ママ~。ふうりんのおとがするよ。」

「まぁ、本当ね。

…今年も、夏が来ましたよ――。」

この世界のどこか、知らない場所で。

その古風な三十代の女性は、

そこにはいない男の子の写真を見て、

懐かしそうに目を細めながら言った。
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