哭く花

「ここ、なに?」

という私の問いに、

植物園だよ〜とだけいう先生は、

またいつものように私を助手席から降ろしてくれた。

沢山小さなビニールハウスが並ぶ中に、

先生は戸惑わずに歩みを進めていった。

私もその背中を追いかける。

ついたビニールハウスの南京錠に、先生の持っていた鍵を差し込むと、

ドアはあっさりと開いて、

中に、こぼれるほどに色とりどりの花が咲く花畑が見えた。
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