徒花と蝶
「…好きでいてくれて、ありがとう」
私は、祐輔と同じ気持ちでないことを隠して、祐輔と一緒にいることはできない。
私に祐輔は幸せをくれたとしても、祐輔に私は、幸せをあげることはできないから。
祐輔が大切だから、友達以上だから、…許してほしい。
そう思いながら私は、祐輔に告げた。
「…祐輔の幸せを、祈ってる」
一見きれいな言葉のように聞こえて、とても残酷な言葉だ。
祐輔が望む未来を、私はあげることができないのに、そんな私が幸せを祈ると言うのだから。
共に在れないけれど、私は祈っている。
自分の幸せよりも、彼の幸せをずっと。
電話越しで彼は、『ありがとう』と言った。