a・ri・ki・ta・riな雨の物語
はじまりは、いつも雨
 外に出てみると、雨は想像以上に地面
を、飛び跳ねていた。
 初夏に降り注ぐ雨は、きらきらした透明の
雫を残して、止めど無く大地を潤していた。
 私が公平に振られた日と同じ。
 あの日も、ただただ雫の美しさだけが、記
憶に残ってた。
 ずっと片思いで幼馴染の公平に雨の中告
白したっけ・・・高校生のせつない思いで。

 「美和、傘もってきてないのか?」
 私にとってのせつない思いでも、公平にと
っては、全く憶えてないのか、ちょっとブル
ーになってる私の方に身を乗り出して、ノー
テンキに尋ねてきた。
 「別にこのくらいの雨、大丈夫でしょう」
 公平の前だとすぐ強がってしまう私。
尋常じゃない雨。
 だけど、会社までタクシーを使うほどの
距離でもなかった。
 
< 16 / 206 >

この作品をシェア

pagetop