笑顔を持たない少女と涙を持たない少年




その夜、一件のメッセージが届いた。


【 明日は美味いマドレーヌ持ってくから、一緒に食おうぜ 】


奏からの、メッセージだった。


その言葉に、その提案に。


胸の奥が、キュン、と音を立てる。


【 うん 】


震える指先で打ち込んだのは、たったの2文字。


まだ奏のことなんて何も知らない。


だけど、これから知ればいい。


――奏を知る“恋”を、はじめよう。

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