笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
「依美、冷めないうちに食べなさい」
母親の優しい声が、私に微笑む。
「…いただきます」
手を合わせて、私は食事を始めた。
ハンバーグに、そっとナイフを入れる。
中から溢れ出る肉汁が、私の食欲をそそった。
昔からずっと変わらないこのハンバーグに、母親の愛情を感じる。
「明日は、お前たちの誕生日だな」
ハンバーグを一口頬張った私は、父親と目が合って。
その言葉に、もうそんな時期かと驚いた。