笑顔を持たない少女と涙を持たない少年




「馬鹿ね…」


それから少しの時間が経過して、奏の母親はそれだけ言うと、その場を去っていった。


玄関のドアはキィ、と鈍い音を立てて、ゆっくり閉まって。


そこに残されたのは、私と、奏。


2人の空間が戻ってきて、我に返る。


きっと――分かってもらえた。


奏のことも、私のことも。


自分で伝えた、逃げなかった。


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