笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


それはきっと、私が生まれるずっと前から、この世界を理解するようになる、ずっと前から。


私の知らないところで、私は支えられてきた。


そのことに、私は今、やっと気が付けたから。


「依美!」「みぃ!」


部屋のドアが勢いよく開いたかと思えば、同時に聞き慣れたその3つの声が耳に入ってきた。


一人鏡を見ていた私は、振り返る。


そこには父親と母親、りぃが立っていて。

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