笑顔を持たない少女と涙を持たない少年
その足音は私に近づいてきて、そのまま教壇の上を歩いた。
奏は置かれっぱなしだったもう一つの黒板消しを取ると、黒板を消し始める。
そして。
「勉強教えてよ依美ちゃん、消せてない上の方、消してやるからさ」
私との距離がものすごく近くなったかと思えば、奏は私の消していた場所の上の方へ、手を伸ばした。
そう言っていたずらっぽく笑った、奏の表情。
そしてさりげない行動に――いちいちドキドキする。