笑顔を持たない少女と涙を持たない少年


そして――


そのまま、ドアを開けた。


再び黒髪が揺れて、シャツが風をはらむ。


すぐに鼻の奥まで届いたのは、爽やかな甘い香り。


スカートから伸びた素足に、温かい空気を感じた気がした。


室内のはずなのに、その空気はとても新鮮で――


その、ドアの向こうで。


その人と、目が、合った。

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